●妊産婦、妊娠を希望する⽅へのアドバイス
新型コロナウイルスでは感染者数の最も多い中国湖北省でも、現時点で妊婦における重症化や胎児障害の報告はありません。しかし、⼀般的に、妊婦さんの肺炎は横隔膜が持ち上がり、うっ⾎しやすいことから重症化する可能性があります。妊婦さんは特に⼈混みを避ける,マスクをかける、こまめに⼿洗いするなどの注意が必要です。
●⾝近にできる予防
外出後や⾷事前などこまめに流⽔と⽯鹸で⼿洗いをしてください。このウイルスにはアルコールなどの消毒薬(アルコールスプレーやアルコールジェルなど)が有効です。発熱や咳などの症状がある⼈との不必要な接触は避けましょう。薬局や薬店(ドラッグストア)などで購⼊できるマスク(サージカルマスク)は⾶沫感染をある程度防ぐことはできます。また、マスクをすることで、⼿指を不⽤意に⼝や⿐にもっていかないという効果がありますが、空気中のウイルス粒⼦は花粉や細菌に⽐べてはるかに⼩さく、またマスクの周辺から⼊り込むことがありますので過信は禁物です。マスクをかけていても⿐を出したり、⼝のまわりを開けたりすると何の意味もありません。マスクは使い捨てで 1 ⽇に数回取り換える⽅が有効です。⾃然宿主動物はまだ不明ですので野⽣動物との接触は避け、⾁や卵は良く加熱してください。家庭⽤の空気清浄機や特定の⾷べ物、サプリメントなどによる予防は有効性が確認されていません。現時点では予防接種はありません。
●新型コロナウイルス感染が⼼配なときは
2020 年 1 ⽉ 31 ⽇の時点では、⽇本国内で⼤規模な⼆次感染、三次感染は発⽣しておらず、ご本⼈や家族が中国から帰国(来⽇)した,あるいは⾝近に確定診断された患者さんがいるという場合以外は、新型コロナウイルス感染の可能性は低いと思われます。むしろインフルエンザやマイコプラズマなど他の病原体が原因の肺炎にかかる可能性の⽅が⾼いのですが、症状だけでは区別がつきません。新型コロナウイルス感染を確定するには、医療機関を受診してウイルス遺伝⼦を検出する⽅法で診断を受けることが必要です。しかしインフルエンザのようにその場では結果が出ず、また感染症診療に対応できない病院・医院もありますので、来院前に受診先と保健所に電話でご相談ください。2 ⽉ 1 ⽇に前倒し施⾏される感染症法の特定感染症に指定されていますので適切な医療機関を紹介することができます。仮に新型コロナウイルス感染であっても、現時点での死亡率は SARS や MERS よりもはるかに低く、患者さんが多い中国でも、現時点では妊婦さんの死亡報告はありませんので過剰な⼼配は不要です。しかし、⼀般的に妊婦さんの肺炎は重症化のみならず、胎児に影響する恐れもありますので、⺟児の健康を守るためには適切な治療と対応が必要です。我々産婦⼈科医はお⺟さんと⾚ちゃんを守る⽴場で、適切にサポートいたします。
日本産婦人科感染症学会
http://jsidog.kenkyuukai.jp/information/
日本産婦人科感染症学会 2020/02/01 掲載「新型コロナウイルス感染症について 妊娠中ならびに妊娠を希望される方へ」
http://jsidog.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20200201155227-66A49FBE3B90CE319651ABC66E65F1ADFF370A715A4303B08CE9E2607157F16D.pdf
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